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大林組 モリソラミライ 公式Instagram

Episode

03

インタビュー

仮設材を建築材料として生かす
大林組 モリソラミライを形にする連携と工夫

GREEN×EXPO 2027に出展する大林組 モリソラミライでは、「仮設材を構造フレームに採用する」という、これまでにない挑戦が行われています。そのアイデアを具現化するには、設計はもちろん、工事現場での緻密な調整や工夫、速やかな判断も欠かせません。現場では、実際、どのような検討が重ねられていたのでしょうか。設計・施工・営業を担う3人が展示館づくりの舞台裏を語ります。

Profile

株式会社大林組
設計本部 建築設計部 課長

陸野 泰寛

国内外の設計事務所勤務を経て2020年に入社。本プロジェクトには2025年3月ごろ、基本設計から参画した。これまでは、横浜市内の複合施設や、渋谷駅周辺の大規模再開発などを担当。

株式会社大林組
横浜支店 国際園芸博PV工事事務所 所長

中村 秀太郎

2000年入社。都心部の超高層ビルをはじめ、数多くの建設プロジェクトに携わってきた。国際博覧会との関わりとしては、2005年の愛・地球博で大手企業の展示館施工を担当し、本プロジェクトへは2024年12月ごろ参画した。その他、GREEN×EXPO 2027のテーマ館「ねっこ」の所長も務める。

株式会社大林組
横浜支店 建築営業部 エキスパート

本田 直樹

2006年入社。日頃は、官公庁・民間の建築工事への営業を担当。本プロジェクトには展示館の出展が決まった2024年12月ごろから参画。中村と同じくGREEN×EXPO 2027のテーマ館「ねっこ」のプロジェクトにも関与している。

01 オール大林組ならではの迅速な意思決定と妥協なき試行錯誤で精度を向上

インタビュー写真
中村
最初にこの展示館の話を聞いたときに思ったのは、「いつも以上に精度管理に留意しなければならないな」ということでした。足場材や山留材(※1)などは通常、工事現場で一時的な仮設材として使うものであり、建築物の構造材や仕上げ材として用いるものではありません。しかもこの展示館は円柱という特殊な形状ゆえに、より高い精度が求められますし、何より建築物である以上、雨をしのがなければならない。仮設材を材料に使っていてきちんと止水できるのか、という印象を持ちました。
陸野
設計段階から中村さんたち工事事務所側とフィードバックを繰り返し、通常は一時的に使われる足場や移動式の空調設備などを、展示館を構成する要素として取り入れていくという異例の進め方になりました。
本田
しかも、大林組 モリソラミライの工期には、2027年3月19日のGREEN×EXPO 2027開幕という絶対的なデッドラインがあります。私は営業の人間で、本来の主な任務は「受注を得るための営業活動」ですが、今回の展示館は既に“受注済み”。一見、営業担当者は不要では?と思われるかもしれませんが、本件では、工期とコストの両方を成立させるべく、設計・見積・計画・現場と多岐にわたる部門の橋渡し役を担いました。
中村
一般の建築物以上にスピーディーな判断を重ねながら、工事を進めることが求められましたね。今回は工期に余裕がないので、設計の皆さんには「できる限り早く情報をください」と何度もお願いしました。というより、「建築以外の展示コンテンツを含めた情報を全部出してほしい」と、かなり強めにお願いしたこともあります。
陸野
かなり言われましたね(笑)。
中村
だいぶ言いましたね(笑)。もちろん、設計側としてはまだ言い切れないこともあると思うんです。でも現場としては、少しでも早く分かれば準備できることがある。なので、「そこは早めに教えてくださいよ」と。
建設現場写真

定期的に現場、設計などの関係者が現地を確認し、検討事項をその場で調整することも

陸野
こちらも「まだ確定ではないんですが……」と前置きしながら、できるだけ早く共有するようにしました。現場で先に検討してもらって、また設計に戻してもらう。そして現場で改良しながら精度が高まるようにアジャストする。そうしたやり取りを重ねることで、全体のスピードも精度も上がっていったと思います。
中村
具体的な例として思い浮かぶのが、外装に使っているラミナパネル(木質パネル)の調整です。木質であるがゆえに、雨に濡れると微妙に伸縮する可能性があるため、設計にクリアランス(※2)を多めに取ってはどうかと提案しました。ただ、そうすることで既存の図面にずれが生じてくるため、再度設計に考えてもらう、といったやり取りを繰り返しましたね。普通、期間限定の仮設建築物となるとその期間中(GREEN×EXPO 2027の場合は約6カ月間)維持できればいい、という気持ちが出るものです。でも我々現場は、仮設物であっても確かな品質の建物をつくりたい。その姿勢が伝わってほしいと思っています。
建設現場写真

ラミナパネルの伸縮を考慮して設けたクリアランスについて説明する中村

本田
大林組 モリソラミライは会社の看板を掲げた建築物ですから、設計の意向としては、やはり、いつにも増して意匠性に富んだものをつくりたいという意識が強かったと思います。しかし、それを実現しようとするとどうしても工期が延び、コストもかさんでしまいます。ただ、発注、設計、施工を担うメンバー、このプロジェクトの登場人物は「オール大林組」ですから、課題はすぐに全員で共有され、どう改善していくべきかの議論が非常に前向きに、速く進みました。あのスピード感は、手前みそになりますが「さすが大林組だ」と感じました。
  • ※1山留(やまどめ)材:
    地盤を深く掘削する際、土砂崩壊や地盤沈下を防ぐ「山留壁」を支え、補強する仮設の鋼材
  • ※2クリアランス:
    安全性や機能性確保のため、部材と部材の間に意図的に設ける隙間

02 「見せる現場」、ミリ単位の仮設材調整—来場者に感じてほしい大林組の真価

中村
大林組 モリソラミライの役割は、端的に言えば、来場者に楽しい体験を提供すること。そうした建築物をつくっている現場事務所も展示館同様、楽しい雰囲気にしたいと思い、いろいろとアレンジを加えました。事務所の建物は一般的なプレハブではなく、展示館の外装に合わせた木造です。一度別の現場で使われたものを移築してきたもので、現在、大林組として木造の現場事務所は日本でここだけなんですよ。内部のオフィスにはたくさんの植物を置き、BGMに私の好きなハワイアンを流しています(笑)。働いているスタッフに楽しんでもらえる現場にすることはもちろんのこと、視察に来る社員へ「見せる現場」を意識しています。
本田
工事現場の視察に来るたび、「明るい現場だな」と私も感じています。事務所の1階に設けた、GREEN×EXPO 2027のグッズを展示しているコーナーも相まって、一歩足を踏み入れた時点で、他の現場とはまったく雰囲気が違いますよね。
展示コーナー写真

事務所1階のGREEN×EXPO 2027オフィシャルグッズ展示コーナー

陸野
設計としては、大林組 モリソラミライが、一般的なユニットタイプの仮設展示館と大きく違う点を訴求したいところです。冒頭で中村さんにお話しいただいたとおり、展示館では足場材や山留材を構造フレームとして採用しています。それらは展示館完成後、来場される皆さんの目に触れることはなくなってしまいますが、それでもこの常識破りの設計によって「大林組 モリソラミライは、ほかの展示館と明らかに何かが違う」と感じていただけるはず。その「何か」が、建設会社である大林組がつくっているからこその部分なんです。
陸野 インタビュー写真
中村
足場材は本来、作業員が安全に作業したり、行き来したりするための通路として使われる資材であり、その機能を達成すれば十分なものだと思います。それを今回は構造に採用していて、しかも外側にラミナパネルを貼りつける設計なので、ミリ単位で納まりを調整しなければならない。そこに施工側の多くの技術が反映されています。
足場材写真

外装のラミナパネルの裏にあるのが足場材。工事中にしか見られない光景だ

陸野
当初、設計としては部材の寸法差などを吸収できる納まりを意図していましたが、工事現場での緻密な修正によって精度が向上し、イメージどおりに仕上がってきていると感じています。また、夜もぜひ見ていただきたいですね。ラミナパネルとラミナパネルの間の隙間に工事現場で用いるテープ状のLEDライトを仕込んでいて、夜間に切り株のシルエットが浮かび上がる仕掛けです。
本田
昼間とはまた違う表情になりますよね。
中村
建物をつくっている人たちにも思いを向けてほしいですね。作業員は1日当たり約50人で、展示館の工事が始まってから、今日までの実質的作業日数は約300日。これまでに延べ約15,000人が働いている計算で、特殊な設計であるため、多くの作業員の力が必要な工事だと感じています。足場材、山留材を構造フレームとして使う特殊な設計であることから、作業員の中でも、とび職や大工の割合が高く、一般的な建築物よりも長い期間にわたって働いてもらっています。
本田
まさに、建設会社である大林組ならではの「見せる現場」を体現した展示館だと思います。

03 竣工後の再利用まで見据えた
次の現場へつながるプロジェクト

建設現場写真

多様な建築資材が未来の建築物や建設現場で再活用される

陸野
今回のプロジェクトで大事にしているのは、つくって終わりにしないことです。例えば外装のラミナパネルは、GREEN×EXPO 2027が終わった後に別の現場で使う予定です。また、3Dプリンターで製作する構造物「The brænch(ザ・ブレンチ)」も他の現場への移転を検討しています。さらに、通常なら外壁の継ぎ目を埋めるのにシーリング材(※3)を使うところをテープで代用し、剥がして再利用しやすくしています。ディテールに至るまでリユースを想定している点が特徴ですね。
中村
そうですね。施工側としても、いかに解体しやすくするかを念頭に置いたものづくりを意識しています。例えば部材と部材をつなぐときに溶接を使わない。新しい部材を製作するのではなく、基本的に既存の流通しているものを使う。そうすれば、比較的簡単に解体でき、次の場所へ持っていきやすくなります。
中村 インタビュー写真
本田
サステナビリティに深く連動するGREEN×EXPO 2027の展示館ですからね。完成がゴールではなく、会期後の活用まで見据えていると。
中村
現場事務所も同様で、今回の工事が終わったら、解体して別の現場でリユースする予定です。また、工事現場では、蓄電池式の発電機を使用し、工事中のCO2排出量の削減にも取り組んでいます。私は、かつて愛・地球博で他社の展示館の工事を担当したことがあるのですが、今回、初めて自社の展示館をつくらせてもらい、大きな自信を得ることができました。リユース・リサイクルや環境負荷低減の取り組みは今後の一般建築にも生かせますし、この現場の楽しい雰囲気も他に持っていけたらと思っています。
陸野
楽しい雰囲気は設計にも共通しています。時間外でも展示館について、笑顔で話し合ったりしていて、皆が通常のプロジェクトとは違うパワーの掛け方をしていると感じますね。
本田
大林組が国際博覧会へ自社の展示館を出展するのは今回が初めてなので、分からないことだらけの中で壁にぶつかりながらもプロジェクトを進めています。大変さはありますが、関係者全員が「お客様が笑顔でここにいらっしゃる」と想像しているから、皆が前向きで楽しそうに仕事に取り組めているのだと思います。個人的には家族を招くのが今から楽しみですね。私はこれまでオフィスビルや病院などの工事現場勤務も経験してきましたが、完成後は利用する人が限られる施設がほとんどです。でも今回の展示館は、完成後もみんなが来られるし、来ていただきたい場所です。
本田 インタビュー写真
陸野
通常の建築では関係する部署の枠組みがある程度決まっていますが、このプロジェクトは特別で、設計・施工に加え、広報や宇宙、木質分野など、幅広い領域のメンバーが連携しています。こうした連携が、未来の仕事にもつながっていくと良いですね。
  • ※3シーリング材:
    建築物の外壁の継ぎ目や窓枠、水回りなどの隙間を埋めて、防水性や気密性を高めるペースト状の充てん材

所属部署・役職については、2026年10月時点のものです

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